兄弟が亡くなったとき
その1
「お足元(あしもと)のお悪い中、早速のお悔み、恐れ入ります。文字通り眠るがごとき大往生(だいおうじょう)でございました。もう少し体のことを考えてくれればよかったのですが、何分にも仕事が趣味だなどと日頃からもうしているような兄でございましたので、これはこれで本望(ほんもう)であったのかもしれません。しかし、残された者達のことを考えますと不憫(ふびん)でございまして、私もできるだけ力になってやりたいと思っております。どうぞこれからも何かと力になってやっていただきたいと存じます。供養でござます。十分な用意もいたしてはございませんが、どうぞあちらでおくつろぎ下さいませ。」
- あくまでも感情におぼれることなく、丁寧に落ちついて応待をするのが礼儀です。
- 礼儀正しく、短く、簡潔な言葉でお礼を述べます。
- 故人と、その弔問客との間柄を心得て応接をするようにします。
ただし「ありがとうございます」というのは、場所柄ふさわしくありません。「恐れ入ります」あるいは「いたみ入ります」と答えるのが適当です。
その2
「弟は身体ばかりが大きくて、気の小さい奴でございまして、そうした心労が重なってのことかと存じます。薬を飲みながら研究を続けていたようで、私も何度か、いい加減なことをせずに十分養生をするようにもうしたのでございますが…。しかしどこかで寿命を知っていたのでございましょうか。『そんな時間はないんだ』などと申しまして、一日も休みをとらぬようなありさまでございました。その成果もあがらぬまま逝(い)ってしまいまして、どんなに無念であったろうと存じます。しかし、幸いと申すのもなんでございますが、先ほど一人息子の○○が、その遺志(いし)を継ぐのだと申しまして、同じ研究の道に進むそうでございます。ですから、いずれは父親のし残した仕事を完成させてくれるものと思っております。弟もさぞ喜んでいることでございましょう。」
- 受け身で話します。こちらから話しかけることはしないように。
- 喪主や遺族は、弔問客を玄関まで見送らないのが普通です。
- 弔問を受けるのは本来故人です。
遺族はその代理人であることを忘れないようにしてください。