父親が亡くなったとき
その1
「お忙しい中を、ご丁寧なお悔みをいただきまして、恐れいります。昨夜、文字通り眠るが如くに、家族の者に看取(みと)られながら旅立っていきました。病床におりました時から常に「生きたいように生きてきた。何も思い残すことはない」と申しておりまして、本人も悔いのない一生であったことと存じます。私どもにしてみれば、あと一年でも二年でもと思いますが、これも寿命と申すものと諦(あきら)めております。」
- あくまでも感情におぼれることなく、丁寧に落ちついて応待をするのが礼儀です。
- 礼儀正しく、短く、簡潔な言葉でお礼を述べます。
ただし「ありがとうございます」というのは、場所柄ふさわしくありません。「恐れ入ります」あるいは「いたみ入ります」と答えるのが適当です。
その2
「さっそくのお悔み、痛み入ります。生前に格別のご懇意(こんい)をいただきまして、父も大変感謝をいたしておりました。厚く御礼申し上げます。若輩の身ではございますが、亡き父の遺志(いし)を継ぎまして懸命に努める所存でございますので、なにとぞお引き立てのほど、お願い申し上げます。」
- 故人と、その弔問客との間柄を心得て応接をするようにします。
その3
「お寒い中、またご遠方よりお越しいただき、恐縮でございます。夜、休む前に、虫の知らせでも申しますのでしょうか、しきりと学生の頃の話をいたしておりました。あの頃が父にとりましても最も楽しい時代であったようでございます。当時のお友達の皆様方にお揃(そろ)いでお悔みをいただきまして、父もどれほど喜んでいることでございましょう。まことに形ばかりではございますが、別室に粗餐(そさん)を用意いたしております。どうぞごゆっくりお過ごし下さいませ。」
- 受け身で話します。こちらから話しかけることはしないように。
- 喪主や遺族は、弔問客を玄関まで見送らないのが普通です。
その4
「お忙しい中、さっそくのお悔み恐縮でございます。突然のことに私どもも驚いている次第でございます。が、父はあらかじめ覚悟ができていたようでございまして、身のまわりのものなどもきちんと整理されておりました。悔いのない最後であったようでございます。もう少し早く気がついておりましたならばとも思いますが、これも運命かと存じます。」
- 弔問を受けるのは本来故人です。
遺族はその代理人であることを忘れないようにしてください。